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八味地黄丸の効果とは?いつ飲む?副作用や効果がでるまでの目安

八味地黄丸の効果とは?いつ飲む?副作用や効果がでるまでの目安

「ふとした拍子に漏れてしまう」「最近、夜中に何度もトイレに起きる」このような加齢による尿トラブルは腎が弱っていることが考えられます。この腎を補う漢方薬としてよく用いられるのが八味地黄丸です。
この記事では、医薬品販売のスペシャリストである登録販売者の監修のもと、八味地黄丸の効果や副作用、そして飲み方を分かりやすく解説します。

監修

澤田 由起夫 医薬品登録販売者(店舗管理者)

登録販売者とは、一般用医薬品(第2類・第3類)を販売できる国家資格で、医薬品の販売のほか、薬剤師に次ぐ医薬品の専門家としてお客様への情報提供や相談を行っています。

八味地黄丸とはどんな漢方薬?

八味地黄丸とはどんな漢方薬?

八味地黄丸(はちみじおうがん)の歴史は古く、中国の古典医学書である「金匱要略(きんきようりゃく)」にも記述があるほど長い歴史を誇る漢方薬です。その医学書には「八味腎気丸」の名前で記されており、当時から腎への働きを目的としたものとして用いられてきました(※1)。

漢方における「腎」とは五臓のひとつで、「成長・発育・生殖機能を司る臓」とされています。腎は尿を作り出す働きがあり、体内の水分代謝に深く関わっています。また、生殖を司る「精」を貯蔵する場所でもあるため、ホルモン分泌や運動系の発達と維持にも関わります。

腎は加齢とともにその働きが低下していくとされています。この腎のエネルギーが不足した状態は、漢方で「腎虚(じんきょ)」と呼びます。腎虚になると、白髪が増える、老眼や耳鳴りといった症状のほか、生殖機能の低下や尿トラブルも代表的な腎虚の症状といえます。

八味地黄丸は有名な補腎剤のひとつで、男性の高齢期に伴う症状に用いられることも多い漢方薬。腎虚によって起こる頻尿や排尿困難、足腰の痛みやしびれ、冷えなどの症状によく用いられます。

漢方における五臓とは?

西洋医学における肝臓、心臓などの臓器とは異なり、生命活動に必要な働きや機能を5つに分類した広い概念です。例えば、腎の場合だと西洋医学でいう腎臓だけでなく、副腎、泌尿器、生殖器などを含めた総称になります。

漢方における五臓とは?

※1 参考文献:日本東洋医学雑誌-J-STAGE | 臨床報告 冷え・痛みの治療に伴う八味地黄丸の緩やかな降圧薬減量効果

名前の由来となっている「丸剤」とは?

名前の由来となっている「丸剤」とは?

八味地黄丸は“8種類の生薬から構成される八味で、地黄が主薬である丸剤”が名前の由来です。別名で「八味丸」「腎気丸」「八味腎気丸」と呼ばれたりもします。

丸剤とは、粉末状にした生薬にハチミツやデンプンなどを加えて練り、小さな丸い形に加工した伝統的な漢方薬の剤型です。喉を通りやすく服用しやすいことに加え、有効成分がゆっくり吸収されるため、作用が緩やかで持続性もあるのが特徴です。

もともと漢方薬は、生薬を煎じて飲む方法が一般的でした。しかし、奈良時代に丸剤が伝えられたことで、保存性や携帯性に優れた剤形として広まり、全国へ普及したといわれています。
近年では、生薬を煎じて抽出したエキスを濃縮・乾燥させ、顆粒や錠剤などに加工した「エキス剤」が主流となっています。

現在も丸剤は販売されていますが、高度な技術と手間が必要で大量生産が難しく、1日の生産量も錠剤などと比べるとわずかです。丸剤を製造する製薬会社は少なくなってきており、伝統的な製法を受け継ぐ貴重な剤形のひとつとなっています。

八味地黄丸の処方

八味地黄丸には次の生薬が配合されています。

  • 地黄(ジオウ)
  • 山茱萸(サンシュユ)
  • 山薬(サンヤク)
  • 沢瀉(タクシャ)
  • 茯苓(ブクリョウ)
  • 牡丹皮(ボタンピ)
  • 桂皮(ケイヒ)
  • 附子(ブシ)

▼地黄(ジオウ)

地黄(ジオウ)

八味地黄丸の効果・効能

八味地黄丸は、腎の働きを補い、体を温めながら新陳代謝機能を高めることで、加齢によって低下した体の機能を整えてくれます。
効果効能は以下の通りです。

  • 排尿困難、残尿感、夜間尿、頻尿、軽い尿漏れなどの尿トラブルの改善
  • 足腰の痛みやしびれの軽減
  • むくみ、かすみ目
  • 耳鳴り、頭重、肩こりの緩和

とくに、夜間頻尿や残尿感、軽い尿漏れなどの泌尿器系の症状に用いられることが多い漢方薬です。また、加齢による目のかすみ、むくみ、腰痛、しびれのほか、高血圧に伴う肩こりや耳鳴りなどの症状にも適しています。

頻尿の症状とは?

頻尿とは、日中の排尿回数が8回以上になる状態を指します。また、就寝中に排尿のために1回以上起きてしまうのが夜間頻尿です。しかし個人差があり、多少回数が多くてもそれによって困ることがなければ特に気にする必要はないでしょう。

高齢になるにつれ、夜間にトイレに行くことで転倒リスクが高まるため注意が必要です。さらに、症状がひどい場合は排尿回数だけでなく、尿意が我慢できないといった切迫した症状を伴うこともあります。

頻尿や尿漏れなどの原因の一つは、膀胱の老化。加齢による血行不良から下半身が冷えると、膀胱は硬くこわばり、十分に尿を溜められなくなってしまうのです。

頻尿の症状とは

西洋薬との違い

西洋医学では、頻尿には尿意を感じにくくする薬を、尿量減少には尿を出やすくする薬を使うのが一般的です。

一方、漢方では頻尿や尿漏れといった表面的な症状ではなく、その原因に働きかける治療を行います。同じ薬で、頻尿にも尿量減少にも効果があるのはそのためです。

▼西洋医学と東洋医学の違い

西洋医学と東洋医学の違い

八味地黄丸の効果が出るまでどのくらい?

一般的に、漢方薬は西洋薬のようにすぐに効果が出るものではなく、数週間から数ヶ月程度かかると言われています。

体質や生活環境によっても個人差がありますが、八味地黄丸は早い方で2~3週間ほどで尿の回数などに変化を感じられることが多いです。

ただし、衰えてしまった「腎」を整えるには、体質そのものを改善していくことも重要。焦らず、じっくり、運動なども取り入れながら続けていきましょう。

八味地黄丸はこんな人におすすめ!

八味地黄丸はこんな人におすすめ!

八味地黄丸は、次のような体質や症状に悩む方に用いられる漢方薬です。

  • 頻尿や排尿困難、残尿感がある
  • 足腰の痛みやしびれ、冷えを感じる
  • かすみ目や目の疲れ、耳鳴りがある
  • 体がだるく、疲れやすいと感じる

漢方薬は似たような効果が期待できるものでも、適している体質や症状が異なります。漢方医学では、この体質や症状がどんな状態かを「証(しょう)」と呼ばれるものさしで判断します。自分の証に合っていないと、十分な効果を感じにくくなることがあります。

例えば、八味地黄丸には体を温める生薬を加えているため、手足の冷えやすい人に適しています。一方、のぼせやほてりを感じる人の尿トラブルには六味丸(六味地黄丸)が向いています。

このように、漢方薬を選ぶ際は、体質や症状に合っているかどうかを確認することが大切です。

八味地黄丸の副作用と注意点

八味地黄丸の副作用と注意点

漢方薬は自然由来の成分でできており西洋薬と比べて作用が穏やかです。そのため、副作用は比較的少ない傾向にありますが、体質によっては副作用があらわれる可能性があります。

八味地黄丸を服用して、次の症状があらわれた場合は副作用の可能性があります。その際は、服用を中止して医師や薬剤師、または登録販売者に相談してください。

関係部位 症状
皮膚 発疹・発赤、かゆみ
消化器 吐き気・嘔吐、食欲不振、胃部不快感
その他 動悸、のぼせ、口唇・舌のしびれ

また、胃腸の弱い人や下痢しやすい人は、症状が悪化したり、副作用が起こりやすいため服用しないようにしましょう。妊娠または妊娠していると思われる人、医師の治療を受けている人は、服用前に医師や薬剤師、または登録販売者に相談してください。

「胃腸の弱い人」はどの程度のこと?

漢方薬の添付文書に記載されている「胃腸の弱い人」とは、もともと胃もたれや消化不良を起こしやすい体質の方、下痢をしやすい方などを指します。

八味地黄丸はいつ飲む?効果的な飲み方

八味地黄丸はいつ飲む?効果的な飲み方

漢方薬は、水または白湯で服用するのが基本です。一般的に漢方薬は、食前や食間に服用することが多いです。これは、胃の中に食べ物が入っていない方が、成分の吸収が良いと考えられているためです。食事の30分から1時間前、または食後2〜3時間を目安に服用すると良いでしょう。

ただし、八味地黄丸は胃腸が弱い人が飲むと胃もたれを引き起こす場合があり、人によっては食後の服用をすすめられる場合もあります。その場合は、指示に従って服用するようにしましょう。
寝る前の服用など、飲み方について相談したい場合は、医師・薬剤師・登録販売者などの専門家に相談してください。

飲み忘れたら?

生漢煎 八味地黄丸の場合は、前の服用から4時間経っていればそのまま1回分を服用して構いません。飲み忘れたからといって、2回分をまとめて服用はしないでください。必ず用法・用量を守りましょう。

八味地黄丸と牛車腎気丸との違いや飲み合わせ

八味地黄丸と牛車腎気丸との違いや飲み合わせ

八味地黄丸と牛車腎気丸との違いは?

牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)は八味地黄丸の漢方処方に、生薬の牛膝(ゴシツ)と車前子(シャゼンシ)を加えた漢方薬です。八味地黄丸と同様、排尿困難や頻尿、むくみなどに効果があります。

牛車腎気丸は、手足の冷えやしびれなどの症状が強く、八味地黄丸では手足の冷えや痺れに効果が不十分な場合に処方されることがあります。

八味地黄丸と牛車腎気丸を併用しても大丈夫?

牛車腎気丸は八味地黄丸をベースとしており、生薬が重複しているため併用はおすすめできません。成分が似ているので同時に服用すると作用が強くなり、副作用が現れる可能性があります。

また、牛車腎気丸以外の他の漢方薬や西洋薬の場合でも、併用する際は服用前に医師や薬剤師または登録販売者に相談するようにしましょう。

今日から実践!養生のポイント

今日から実践!養生のポイント

中医学の基本となる養生(ようじょう)で心身を整えることは、八味地黄丸の効果を後押ししたり、不調の予防にもつながります。ここでは、すぐに実践できる養生アイディアを紹介します。

腎を補う食べ物

東洋医学では腎を補う食材として、黒い色の食材や粘り気のある食材がよいとされています。

黒い色の食材は、黒豆、黒ごま、ひじき、わかめなどがあります。これらの黒い食材には、アントシアニンなどのポリフェノールを含み、抗酸化作用を持っているのが特徴です。

また、粘り気のある食材としては、山芋、オクラ、なめこなどが挙げられます。なお、栄養豊富な山芋は「山薬(サンヤク)」という名称で生薬としても使われており、八味地黄丸にも配合されています。

これらの食材を日々の食事にバランスよく取り入れてみましょう。

コーヒーや炭酸飲料を控える

夜間頻尿が気になる人は、寝る前の水分補給を控えましょう。水分補給をする際は、常温の水かぬるま湯がおすすめです。

紅茶やコーヒー、緑茶などカフェインを含む飲み物には利尿作用があり、冷たい飲み物やアルコール飲料、炭酸飲料は膀胱を刺激し、夜間尿の原因となることがあります。こうした嗜好品の飲料は、1日1〜2杯程度に止めるのが望ましいでしょう。

骨盤底筋トレーニング

骨盤底筋が弱くなると尿が漏れやすくなるので、トレーニングで強化しておくことが大切。

トレーニングはスキマ時間に積極的に行い、できるだけ回数を増やしましょう。お腹に力を入れないように意識するのがポイントです。各1セット5回。症状の軽いうちにはじめて習慣化を。

座って行うトレーニング

座って行うトレーニング
  1. 姿勢を正して椅子に座る。

  2. お腹が動かないように意識しながら、膣と肛門をキュッと締める。

  3. 息を吐きながら、4~5秒かけて膣と肛門を胃の方向に吸い込むようなイメージで引き締める。

  4. 息を吸って力を抜き、リラックスする。

寝ながら行うトレーニング

寝ながら行うトレーニング
  1. あおむけになり、膝を立てる。

  2. 手をお腹に置き、腹筋や骨盤が動かないように意識しながら、膣と肛門をキュッと締める。

  3. 息を吐きながら、4~5秒かけて膣と肛門を胃の方向に吸い込むようなイメージで引き締める。

  4. 息を吸って力を抜き、リラックスする。

八味地黄丸は男性・女性問わず効果的!

八味地黄丸は男性・女性問わず効果的!

相談しづらい尿の悩み。尿トラブルの心配から旅行を控えるようになったり、運動や趣味に制限が出るなど不自由に感じる方も少なくありません。

八味地黄丸は男性だけでなく、産後や加齢による女性の尿トラブルにもおすすめです。

尿トラブルで悩んでいる方や少し気になり始めたという方は、この記事で紹介した八味地黄丸や養生アイディアを参考にしてみてくださいね。